第一回
花山秀和さん(高校48回)
国立天文台天文情報センター石垣島天文台室長

現在の花山さんのお仕事を教えてください。
 所属先の正式名称は「大学共同利用機関法人 自然科学研究機構 国立天文台 天文情報センター 石垣島天文台」になります。

 職場のある沖縄県石垣島は日本の西南に位置し、国内で最も多くの星が見える地域にあります。この地域には(1)全天で21個ある1等星がすべて見える、(2)大気が安定していて惑星がくっきりと見える、(3)街明かりが少なく天の川が見える、といった天体観測に適した特徴があります。このような地理的・大気的な特徴を活かし、国立天文台は天文学の研究・教育普及活動を行うことを目的として、石垣島天文台を設置しました。

 石垣島天文台は国立天文台、石垣市、石垣市教育委員会、NPO法人八重山星の会、沖縄県立石垣青少年の家、琉球大学の6者の連携によって運営されるユニークな天文台です。九州・沖縄では最大の口径105cmの光学・赤外線反射式望遠鏡「むりかぶし望遠鏡」を備え、太陽系天体や突発天体の観測研究、天文学の広報・教育普及活動を行っています。

 私は博士号取得後、石垣島天文台の研究員として観測研究に従事してきました。2017年からは施設責任者として地域連携を通した施設の管理運営に携わっています。

石垣島天文台の活動に関しては下記の記事でも紹介されておりますのでご覧ください。

・国立天文台ニュース 2022年 春号
https://www.nao.ac.jp/contents/naoj-news/data/nao_news_0336.pdf

・天文月報 2022年10月号
https://www.asj.or.jp/jp/activities/geppou/item/115-10_667.pdf

花山さんの中学、高校時代のお話を聞かせてください。
 出身中学は飯塚市立飯塚第一中学校になります。中学では図書室で天文学や宇宙に関する書籍を読み物思いにふける少年でした。

 高校では地学部と書道部で活動しました。地学部では文化祭で恐竜の展示物を作成したり、プラネタリウムで星空案内をしたことが思い出に残っています。書道部ではお手本を見ながら濃墨でかすれた字を書いていました。大会に向けて練習に打ち込んだこと、他校に遠征したことが思い出に残っています。

 私は園芸部ではなかったのですが、園芸部顧問の倉智久寿先生に時々お声掛けをいただいて、校内のごみを回収して再利用したり、庭を耕して菖蒲園を作ったりしていました。作業をしていくうちにだんだん構想が見えてきて、イメージが形になる過程を体験しながら学ぶ面白さにハマっていたと思います。

 中学を卒業する頃には天文の道に進みたいと考えていました。高校に入学した後、関連する部活を探しに地学標本室を訪ねたとき、自然や地球や宇宙に詳しい方がいて、興味深く話を聞いているうちにあっという間に時間が経ってしまいました。その時の、倉智先生との出会いが一番印象に残っています。それからは時々そこにお邪魔するようになりました。

 1年生のときに北九州のスペースワールドで研修旅行がありました。無重力体験や月の重力体験など、日常ではなかなか味わえない貴重な経験として印象に残っています。天文学だけでなく、宇宙開発や科学技術についても関心を深めることができたのは、今思えば大変ありがたいことだったと思います。

 2年生からは生徒会総務としても活動していました。学校行事の企画運営を通して縁の下の力持ちの役割を担うことの大変さや大切さ、やりがいを学べたことが自分にとってかけがえのない財産になっています。

大学でのお話を聞かせてください。
 天体や宇宙の研究に取り組むことを念頭に、必要な数学や物理をしっかりと学ぶことができる大学に進学しました。

 大学では授業のテストや実験のレポートが多く、勉強に明け暮れる日々でした。住んでいたところは大学近くの下宿で、朝夕に食事付きで助かりました。お風呂・洗濯は近くの銭湯・コインランドリーに通い、洗濯の待ち時間などには物理や数学の文庫本を読んでいました。

 進級するにつれて研究への思いが強くなり、両親の理解もあって卒業後に国立天文台での研究が可能な大学院に進学する道を選択しました。

大学卒業後はどのような事をされていましたか
 大学院では授業やレポート、ゼミ、研究に打ち込む毎日でした。慣れないことが多く、ぶつかった壁を乗り越えるのに必死でした。先生や先輩、そして友人のサポートやアドバイスのおかげで少しずつスキルアップして成果が出せるようになったと思います。天体の爆発現象に関するスーパーコンピューターを用いた理論的な研究で修士号、そして博士号を取得することができました。

石垣の天文台で働くきっかけは
 大学院時代に国立天文台の口径50cm望遠鏡を用いた一般向け天体観望会スタッフのアルバイトをしていました。ちょうどその頃に石垣島天文台の開設を知り、口径105cm望遠鏡で観測を行い、未知の天文現象と向き合って研究を進める環境に魅力を感じていました。博士号を取得した際、研究員の募集があることを知り思い切って応募しました。応募に悩んだこともありましたが、口径50cm望遠鏡の担当技官の方が励ましてくださったことが大きな後押しになりました。

花山さんが持つ嘉穂のイメージは
「質実剛健」、「自主創造」。歴史と伝統があり、運動場が広く、生徒と先生が多い。人生の学びの場であり、たくさんの大切な思い出が残っている場所です。

最後に嘉穂の現役生に対してメッセージをお願いいたします
 倉智先生より卒業アルバムに「人生は長さではなく目覚めである」「人生は卑少に過ごすには余りにも短か過ぎるぞ 生きて廻天の雄図を成し 死して千載の功名を垂れよ」というメッセージをいただきました。今思えば壁にぶつかって苦しかったときは自分が一番成長していたときだったように思います。大変なこともあること思いますが一日一日を大切に、楽しく充実した高校生活を過ごされることを願っています。

略歴:
1977年福岡県飯塚市生まれ。国立天文台天文情報センター石垣島天文台室長・講師。福岡県立嘉穂高等学校理数科、早稲田大学理工学部物理学科卒。東京大学大学院理学系研究科天文学専攻修士課程修了。同博士課程にて博士号取得後、石垣島天文台研究員などを経て2022年より現職。九州沖縄最大の口径105cmむりかぶし望遠鏡による天文学の広報・教育・研究活動に従事。2022年度古在由秀賞。

<参考>
<日曜の朝に>満11歳の石垣島天文台
https://yaimatime.com/yaimanews/15509/

花山講師が古在由秀賞を受賞
https://www.nao.ac.jp/news/topics/2023/20230315-award.html

石垣島天文台が令和5年度国立天文台長賞を受賞
https://murikabushi.jp/?p=7188

花山さんは皆さんも一度は行ったことがある、ふらんす亭がご実家です。
小さい時から興味を持たれていたことを更に嘉穂で深め、実際に職業として全うされています。
石垣の天文台に伺った際にはお忙しい中、わかりやすい言葉でいろいろ説明をしていただきました。
本当に宇宙や星が好きな人なんだなという印象でした。